藤井 靖史12るところでもあります。私自身が経営していた会社を売却後に自分の経営がすごいうまくいったという感覚がありました。でもこれって何でなんだろうという疑問があったんですが、そこから経営大学院に進学し答え合わせをしたら、「なるほど、こういうことか」という感じで、しっくりきたんですね。経営を全く経験せずに経営大学院に入学しても、おそらく分からなかったと思います。いろんなケースを考えろとよく言われますが、リアリティがないと分からない。多分リカレント教育も、それに近いのかも知れないですね。中堅層の人が再整理や学び直しをすることは難しいと感じています。だからこそ、今回の講義などはジャストミートだったのではないですか? それは結構ありますね。それこそ50代、60代の方には、若かりし頃の成功事例、成功体験があって。はたと気づくと、その成功体験が「あれ、なんか違う?」「今の若者はこのパターンじゃない?」ということが結構多くなってきています。これって一体どういうことなんだろうなという。最近、世の中の流れ方が大きく変わったというのもあって、その辺にどう触れようかというときに、なかなか機会がないと思うんです。 たとえば経営大学院で学んだ内容は、割とベーシックで、今でも通用する法則なんですが、現代になるとやはり微調整が必要というか、つなぎが必要ということがあって。いわゆる経営的なフレームワークは世の中にたくさんあるんですけれど、それと現実のギャップがあって、それをどうやって埋めようかというのは、自分では割と意識しています。ですからその辺がうまくはまってくれるとありがたいなと思っています。 自治体の取り組みにおいても、地域の人たちが抱える課題を把握していないと、未来につながっていかないと思いますね。高度経済成長期は、みなさんそれぞれ思いはあるだろうけれども、国の方針に沿ってやっていくことで何とかなっていたんですが、今は人口減少が進み、パワーがなくなってきて、どんどん成長するというエン■講義日:2022年10月8日? ■講義タイトル:西会津町デジタル戦略の推進 (別会場からのオンライン講義)まず今回ご講義いただいた感想、受講者の感触などはいかがでしたか。 しっかり質問していただいたのは、ありがたいなと思っています。質問の内容も良かったですし。やはりオンラインだと距離があるために、どこまで伝わるかという懸念がありました。もともと大学でも投資や、学生が社会にコミットするようなことをずっと行ってきたのですが、おそらく聞いただけだと、そこで終わってしまうんです。その次、どう実行するかがとても大事なので、オンライン上でそこまで到達できればという思いでした。 私は、様々な講演で割と抽象度の高い話をするのですが、爆発的にウケがいい時と、全くウケない時が結構はっきりしているんです。本当に何か変えようと思っている人や、いろいろやって失敗もして、行き詰まっている人のほうが心に刺さるんですね。私の講演は、基本的にはある現象を説明して、あとは自分で考えてくださいというパターンです。いわゆるセミナーのような感じを求めちゃうと、じゃあ自分は何をすればいいんだろうみたいな感じになってしまうのではないかと。特に、これから何かをやってみようという、まずはノウハウを聞きにいこうという人に対しては、刺さる内容になるかどうか心配でした。 そういう意味では今回、より具体的に実践されている人の力添えはできたのかなという感じはします。今回の受講者は、転職や創業、あるいは社内でのプロジェクトリーダー。ちょうど「これからどうするか?」という局面に直面している中堅層が主体でした。 自分でいろいろ取り組まれている人が多かったというのは、講演する側としても、随分助かりました。「経験則的にこうなんだろうなあと思っていたことを、抽象化して言ってくれた」と言われることがよくあるんですよ。今まで経験してきたものは一体何だったんだろうっていうのを、そこに当てはめて考えていくと、「なるほど」と納得してつながっていくというのは、私の目指してい大手企業を歴任の後、創業。さらに会津大学産学イノベーションセンター(UBIC)の准教授に就任し、Aiyumu取締役を経て現職という異色の経歴。西会津町CDO(最高デジタル責任者)内閣官房オープンデータ伝道師講演者インタビュー
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